看取りは命のバトンを受け渡す大切な場面 ~臨終後の命のバトンリレー~

清水 直美 氏 相模原市倫理法人会 会員、町田看取りステーション「千咲土(ちさと)」所長

第596回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
テーマ:『看取りは命のバトンを受け渡す大切な場面 ~臨終後の命のバトンリレー~』
講師:清水 直美 氏 相模原市倫理法人会 会員、町田看取りステーション「千咲土(ちさと)」所長

 今回のお話をお聞きして、看取り士のお仕事に深く共感しました。看取り士についてご存知無い方もいるかと思いますので、先ず「看取り士」とはどういうお仕事なのかについて書かせていただきます。何となくイメージ的には想像がつくけれど正確には分からないという方が多いと思います。映画「おくりびと」の納棺師と勘違いされる方が多い様ですが、それとは違います。余命宣告から納棺前までをお手伝いする仕事という事です。ただ、こう書いてしまうと非常に表面的な受け取り方になってしまいますので、もう少し内面的な点について触れておきます。

 看取り士の仕事を理解する上でのキーワードはテーマにある「命のバトン」。人はこの世から旅立つとき、その人の存在の意味を誰かに伝えたいと願うそうです。そしてそれを一番伝えたいのは、その人が「時間」「思い」「エネルギー」を注いだ方。多くの場合は、子供、家族、パートナーです。命のバトンとは、旅立つ人から受け取った旅立つ人の思い≒「良い心と魂、生きて来た意味、生きて来た証」の事。この命のバトンを受け渡すのが看取り士の仕事です。よく「あなたが看取ってくれるの?」と聞かれスそうですが、そうではなく命のバトンを渡したいご家族に渡す架け橋をするのがお仕事だとの事です。看取り士の目標は、「最後の時に、誰もが愛されていると感じて旅立てる社会づくりを目指す」との事で、倫理法人会の「心の経営」にも結び付く点の多い尊いお仕事だと感じました。

 ご講話では、我々が命のバトンを余すところなく受け取るにはどうしたら良いのかを中心に、今まで聞いたことの無かった看取り士の視点からの貴重なお話を聞くことが出来、大変参考になりました。

 残念ながら私の父の死には間に合いませんでしたが、でも良かった。母の時には実践出来そうです。お話を聞いた後、父母との思い出が沢山沸き上がってきました。お話の中で、感謝の気持ちを込めて「生んでくれてありがとう」と毎朝口に出して言いましょうとありましたが、思い出を辿ると本当にその通りです。付け加えれば、「生んで育ててくれてありがとう」でしょうか。倫理の教えでも「最も大切な、わが命の根源は、両親である。」等々ありますが、命の繋がりに感謝し、しっかりと命のバトンを繋いで行くことが非常に大切な事だと改めて認識することが出来ました。

 命のバトンはしっかりと触れた人に受け継がれて、受け取ったものの生きる力となっていく。受け取ったバトンを生きる糧として、それをまた、子や孫につないでゆく。バトンリレーがしっかり出来た人は、その後の生き方も変わっていく。親の看取りをしっかり出来た人は完成されていく。心に響く言葉を沢山いただきました。

 私の母は、現在、群馬県の特別養護老人ホームで寝たきりの状態でいますが、母が旅立つ時には、出来れば傍で抱きしめて看取ってあげたい、それが無理でもしっかりと触れることで命のバトンをしっかりと受取っていきたい。それ以前に、今度会いに行った時にはしっかりと抱きしめて感謝を伝えておこうと強く感じることが出来ました。

 お話の最後に、「我々は100%死ぬ。それは自然の営み」と言う言葉がありました。死は特別なものでは無く自然の営み。それを自然なまま素直に受け入れること。それが大切なのですね。死はいつ訪れるかわからない、だからこそ今を精一杯生きよう、そんなことも思い返させていただけました。

 「最後の時、全ての人が愛されていると感じられるように、、、」

 そんな社会を実現するために頑張っている看取り士の方々の事を、もっともっと世の中に知ってもらうために、是非みんなで応援して行きましょう。みなさんも看取り士の方のお話を聞く機会がありましたら、是非参加してみてください。自らも生きる力を受け取ることが出来ると思います。

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