欲しい 未来は自分たちで創造する

あきさわ園 代表 秋澤 史隆

第667回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
テーマ:『 欲しい 未来は自分たちで創造する 』
講話者:あきさわ園 代表 秋澤 史隆 氏

 神奈川県小田原市で、みかんやキウイ、ブルーベリー、野菜などを作っている、あきさわ園。今回講師の秋澤史隆さんは、300年代々営んできたみかん農園を、さまざまな方法で地域や環境と絡めて活用している。

 現在は農産物を作るだけでなく、付加価値をつけた加工品生産から販売までを手がけている。その生産加工場も自前で作った。これまでも農園の農道など、なんでも自分たちで作り上げてきた。そんなところが「欲しい未来は自分で作る」のコンセプトの元になっているという。

 農園を中心とした多岐にわたる活動は、海外での経験から生まれたもの。これまでの家業はいわゆる昔ながらのみかん農家。ひたすら良いみかんを作る。朝から晩まで、農作業に費やす日々に、若い史隆さんは疑問を持ったことだろう。

 農業大学に進むが、大学時代は海外に興味を持つ。家業をそのまま継ぐのに、少なからず疑問を持ったのだろう。実際にいろんな国で、グローバルに世界の生活や農業を見てきた。アマゾンにも半年住んでいたという。生きる価値、存在価値とはなんだろう? そんな中で商業的な観点とは別に、大切なことに気づく。

 「何もなくても自然があれば生きていける」

 食べるものがあれば、農業があれば生きていける。世界の農場を見てきた。憧れを持っていた、海外の大規模農園では、化学肥料や農薬で環境にも悪影響が。地平線まで続く畑にセスナが農薬を撒いていく。その瞬間、呼吸困難に襲われた。

 遺伝子組み換えの大豆栽培の現場にも行ってきた。農薬に強い遺伝子に組み替えられた大豆は、農薬を蒔いても青々としている。無農薬、オーガニックなどがもてはやされているが、生産コスト、見た目の品質は、農薬や遺伝子組み換えにはかなわない。そうした世界と日本の農業の置かれている立場。そしてとはいえ貨幣経済の中での、現実との折り合い。

 あきさわ園でも無農薬と低農薬のみかんを作っているが、やはり売れ残るのは見た目の悪い無農薬のみかん。環境問題、貧困、経済的な現実。そんな理想と現実の中で、さまざまな可能性を模索している。

 秋澤さんの視座は高い。安全な食を、自分たちの手で作り出す。そんなコミュニティを、このあきさわ園の中で目指している。

 それだけではない。その魅力をブランド、ファッション、異業種などとコラボして発信する。そうして共感の輪を広げる。海、山、川が共存する神奈川県には、世界的に見ても大きな魅力がある。農業という産業、神奈川、小田原という資源を活かし、環境、貧困、食の安全などのグローバルの問題を、この小さな農園から解決していく。

 明日やろうは大馬鹿やろう。世界の問題は他人事てはない。いかに自分ごととして、一人一人がアクションを起こすか。世界を知る一人の青年の想いは、確実に多くの人の心を掴んでいる。コロナ禍の先に待っているのは、こういう未来かもしれない。

 自動運転の車が空を飛ぶ。そんな未来より。地域の自然の中で、汗を流して作物を育て、みんなが笑っている。そんな未来の方が、幸せになるのかもしれない。

 今回いつもにも増して、多くのゲストが、秋澤さんの講話を聴きに、朝から参加されていました。
その中から、お二人の入会表明!

 素朴な農園から未来を語る、素晴らしい講話でした!

専任幹事 内山 聡 記

第667回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
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