第668回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
テーマ：『 いつの間にか創業５年 』～倫理法人会に入会しましょう！
講話者：横浜市倫理法人会 会長（株）エフエージェンシー 代表取締役 井上 富寛 氏
cool and crazy
今回の講話は神奈川県で二番目にできた歴史ある、横浜市倫理法人会の会長井上富寛氏。倫理法人会では、仲間を増やす「普及」というのを、一つの目標にして活動しているが、昨年度横浜市は、期末期限前のわずか一ヶ月で、103社から目標の140社を上回る、141社を達成して話題になった。
その立役者は井上会長だということを聞き、是非ともその秘密を知りたいとオファーさせていただいた。
語り口は言葉少なに、ニコニコと淡々と話すが、その口から出る言葉は、なかなか大胆だ。平然とクレイジーなことをやってのけるその秘密は、幼少期に遡る。
宮崎で育った井上会長は幼少期お母様の病気のため、親元を離れ叔母さんの家で育つ。お母さんの病気は良くなったものの、小三で両親はうまくいかず離婚、母子家庭となる。世はバブル景気に沸く1980年代後半、しかし母子家庭の井上家にその恩恵は無く、雨漏りする家に住み、中学時代には自身も新聞配達をしていたという。井上会長にとってこの頃の経験が、のちに苦労を厭わない強さとなる。
高校入学時両親が復縁したが、母親から聞く父親像は良いものではなく、父親との確執は埋まらない。新たな家庭環境に馴染めないのもあり、大学は家を出て高知に行く。プロを目指したサッカーで大学を選んだが、仕送りもほとんどない環境でバイトも忙しくサッカー部を辞める。
苦労しながらも大学を卒業し東京に出て、まずは住宅の営業に勤めるが、心の中は「10年で独立して社長になる」という思いだったという。苦労を厭わない井上青年は、飛び込み営業は苦にならない。新人から成績を残す。しかし年数が経つにつれ、言葉巧みに契約を取り続けていく仕事に疑問を感じた。
そんな時稲盛和夫の著書「生き方」に出会う。人生、仕事の結果＝考え方×環境×能力。経営の本もいろいろ読んで、いわゆる在り方についても考えるようになる。就職してちょうど10年目、その年2009年リーマンショックで勤務先が倒産、会社更生法により再生を図る。予定を少し伸ばし勤続15年で再生を見届け退職。念願の独立を果す。
保険の代理店としての独立するが、大きな会社で生きてきた井上氏。全てを一人で行う個人での仕事は勝手が違った。売り上げは5400円、支出40万。どんどん減っていく蓄え。
そんな中、倫理法人会と出会う。倫理経営を学んでV字回復とはいかず、倫理指導を受ける。お父さんへの手紙を書くように指導される。そして２回目の倫理指導で、3年経ってダメなら廃業するようにと言われる。そこで井上氏はクレイジーな選択をする。
なけなしの資金200万円を投資して、不動産の資格を取る。実践が結果になったのは一年後。期末最後の最後で契約がまとまり、赤字決算が一気に黒字になるという体験をする。事業も見通しがつき、ランドマークにオフィスを構え、いよいよこれからという時にコロナが襲う。
倫理法人会では真面目に学んでいると、出世がはやい。やがて事務長を経て会長になる。しかしコロナ禍で事業は再び大ピンチに。会長を拝命した倫理法人会も初年度は会員を減らし、2年目の中間目標も達成できず、心が折れそうになる。もうやめようか。わずか半年前の今年2月のことだという。
一般的に二年が節目の会長職、仕事もままならない中、このまま終わろうと考えていたが、専任幹事に「目標を達成しないと辞められませんね」と言われて目が醒める。井上会長はここでまたクレイジーな行動にでる。
それが昨年度最後の一ヶ月の奇跡。生活も厳しい状況にもかかわらず、一ヶ月間倫理に全てを捧げる決断をする。倫理法人会での結果は前述の通りだが、実はこの話には続きがある。目標を達したそのあと、わずか一ヶ月で昨年の売り上げ以上の契約を取れたという。
倫理では時折りこういうことが起こる。全てを捨て、人のために動く。すると思いがけなく大きな成果が待っている。言い切ったらできる。改めて確信した井上会長は、今後の事業の目標を語ってくれた。
5年後に上場を果たすプランは、まさにクレイジー。しかし井上会長なら、きっとやってしまうのではないか。幼い頃から苦難を乗り越えた強さ、そこに倫理の確信が加わった。
言い切ったらできる。平塚市でも、自分の事業でも。言い切って、実現していきたいと思います。
専任幹事 内山 聡 記
